【4月3日 AFP】もし人類が地球温暖化を、長年ボーダーラインとされてきた「19世紀半ばより2度未満の上昇」に抑制することができたとしても、北極海が無氷状態になる可能性があると、科学者らが警鐘を鳴らした。無氷状態は、海氷域が100万平方キロメートル未満になることを意味する。

 ただ上昇値を1.5度以下に抑制できれば、非常に大きな違いを生じさせることができると、2日に英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された個別の論文2件は述べている。

 2度上昇の場合、北極海がおおよそ4年に1回、夏に無氷状態になる恐れがあるが、上昇値が1.5度を超えなければ、その可能性は40年に1回の可能性まで低下するという。

 論文2件のうち1件の執筆者である米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)のアレクサンドラ・ヤーン(Alexandra Jahn)助教授は、「0.5度が大きな違いを生むことを発見するとは予想もしなかったが、本当だ」と述べた。

 世界197か国が参加した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、世界の平均気温上昇が19世紀半ばの水準よりも2度を「十分に下回る」ようにし、さらには1.5度以下に抑制するよう「努力する」ことが求められている。

 地球上の平均気温はこれまでに1度上昇しており、すでに干ばつや熱波、海面上昇により多発する暴風雨などが徐々に激しさを増してきている。(c)AFP/Marlowe HOOD