【4月2日 AFP】2012年にインドの首都ニューデリーを走るバスの車内で女子学生のジョティ・シン(Jyoti Singh)さん(当時23)が集団による性的暴行を受けて死亡した事件から5年以上が経過する中、同国では女性の地位向上や性的暴行事件への対応改善が声高に叫ばれるようになった。だがその一方で、助けを求める性暴力の被害者たちに対する警察のハラスメントは今も後を絶たないという。

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 同国では性犯罪に対する取り組み不足に対して反省を求める声が高まり、犯人はもとより、事件を無視したり被害者を侮辱したりする警察官を処罰する法律が強化された。しかし、警察は今もレイプとみられるケースを事件化しなかったり、被害者に犯人と和解するよう圧力をかけたりしていると、人権団体は訴えている。

 同国ラジャスタン(Rajasthan)州で義理の兄弟から暴行を受けたある女性は、家へやってきた警察に「和解案に署名しろ、さもないとお前たちを殴りつける」と言われたと告白。さらに「賄賂を要求して私たちを脅迫した。警察署を訪れた時はいつも邪険に扱われ、『何も起きていないのにお前はうそをついている』などと言われた」と証言している。

 また国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は昨年11月の報告書で、ニューデリーでの事件の余波を受けて、性犯罪の扱いの改善が誓われたものの「十分に実現していない」と指摘。

 法的サービスの援助を女性たちに提供している慈善団体「Jan Sahas」によると、警察は現在も屈辱的な「処女検査」のため犠牲者を地元の病院に差し向けているという。同団体の一人は「犠牲者がしばしば動物のように扱われている」と述べた。

 インドでは依然、首都だけでも毎日5件、全土では100件以上の性的暴行事件が記録されている。

 その一方、首都警察の報道官は、女性たちが「5年前より安全になったと感じている」ことに自信を持っているという。

 ただ、報道官は2012年以降、パトロールを増やし、女性向けのヘルプラインや護身術講習を導入したとする一方、さらなる対策が必要であることも認めている。(c)AFP