【4月2日 東方新報】百度(Baidu)の李彦宏(Robin Li)CEOが3月26日に中国発展エグゼクティブフォーラム(China Development Forum 2018)で行った基調講演の内容に、注目が集まっている。

■人工知能(AI)が中国経済成長の新たな動力に

 これまでの5年間、中国経済はインターネットに支えられてきたが、インターネットの成長余地はすでに頭打ちで、これからは人工知能がけん引力になる。

 インターネット人口の成長率は、この5年間はGDP成長率を下回っており、1人あたりの1日のインターネット利用時間は毎日平均3~4時間で、これも今後増えないだろう。

■自動運転の安全性高まる

 自動運転車は中国で10兆元(約169兆円)規模の巨大産業となりつつあり、GDPの六分の一から七分の一を占めている。中国は新しい技術の導入に積極的で、自動運転車の研究・開発、製造においても世界のトップに位置している。3~5年後には運転手不在の自動車が公道を走るのではないかと予想している。

 李CEOは、米配車アプリ大手ウーバー(Uber)の自動運転車が起こした死亡事故が大きな注目を浴びていることを挙げ、「自動運転車が事故を起こせば、かなりの波紋を呼ぶだろうが、いずれ人は自動運転の方が人間の運転より安全だと認識するはずだ」と述べた。

 中国の消費者の83%は、自動運転車に対して肯定的な反応を示している。この数値は米国など多くの国を上回っており、自動運転技術は中国で急速に普及するだろう。

■政策、人材、データが人工知能の発展をけん引

 中国政府は人工知能の発展を大いにサポートし、関連政策の導入や企業への補助金などを通じ、新技術の採用を促進している。

 また、中国は豊富な人材を擁している。中国人は勤勉で、残業や長時間労働も苦にしない。さらにインターネット人口7億人分の膨大なデータを機械学習に活用できることは、大きなメリットがある。

■「中国人は便利さと効率のためならプライバシーも提供する」

 一方で、大量のデータには多くの個人情報も含まれている。李CEOは、百度がプライバシーの保護に十分な対策を取っていると強調しながらも、「中国人は、個人情報に対して敏感ではない。自身の生活がもっと便利に、効率的になるのであれば、ほとんどの人は進んで提供してくれるだろう」と話した。

 百度は技術が成長の要であると考え、売上高の15%に相当する100億元(約1691億円)以上を研究開発にあてているという。(c)東方新報/AFPBB News