■搾取されがちな難民

 日本での難民認定が狭き門であることは広く知られている。昨年は申請が2万件近くあったのに対し、認定されたのはわずか20人だ。

 申請者の大半が経済移民だというのが日本政府の主張だが、支援団体や国連(UN)は、証明することが極めて難しい認定要件が真に危険な立場にある難民申請者に対しても課されていると指摘する。また、認定プロセスにもひどく時間がかかり、決定が下されるまでに平均3年は待たされるという。

 さらに難民として認定された場合、あるいは認定手続き完了までの間の就労許可が下りた場合でも、本国と同レベルの仕事を得ることは難しい。

 JARの就職フェアで取材に応じた難民申請者の男性は、航空業界と観光産業で計9年間のカスタマーサービスの経験があると話した。しかし、今彼が応募しているのは東京のホテルでの清掃の仕事だ。

「ここで生き残るためには、どんな選択肢でも受け入れざるを得ない」と男性は話す。日本の難民認定プロセスはあまりにも時間がかかり、その間「妻にも子どもにも会えない」と言うその目には涙があふれた。

 JARが企業に求めるのは、難民に研修の機会を与えること、彼らが多様な顧客を開拓できる有用な人材だと認識することの2点だ。JARの代表理事、石川えり(Eri Ishikawa)氏は「難民を雇用している企業の多くがその価値に気づいている。難民たちの出身地によって、自社製品をその地域へ売り込むことのできるグローバルな営業員とみなしている会社もある」と言う。