【4月21日 AFP】この春、東京都内でとある就職説明会が開催された。日本企業3社の人事担当者がプレゼンを行ったのは、リクルートスーツに身を包んだ就活生ではない。履歴書を手に熱心に耳を傾けていたのは、さまざまな理由から母国を離れ日本に逃れてきた難民申請者たちだ。

 日本が毎年受け入れている難民の数はごくわずか。その上、言語や文化的バリア、差別といったハードルは高く、それらを乗り越え日本で職を得るのはほぼ不可能にすら思える。しかし日本経済の労働力不足を背景に、一握りではあるがいくつかの企業が難民の雇用に乗り出している。

 3月末に行われたこの就職フェアは、NPO「難民支援協会(Japan Association for RefugeesJAR)」が開催した。プレゼンを行った一社は、発泡スチロールメーカーの大竜化成(Dairyu)。新たに2人の雇用を考えているという代表取締役社長の尾坂憲一(Kenichi Osaka)氏は「わが社はあなたの働き、日本人には考えつかないあなたの新しいアイデアを必要としています」と英語で語りかけた。

 急速に高齢化が進む日本の失業率は、過去25年で最低の2.4%となっている。社員200人のうち約20人が外国人だという大竜の尾坂氏は、「日本国内では労働者が不足しているため難民の方々を雇いたい」と話す。初任給は勤務地の最低賃金である時給813円だが、社員寮への入居と年3週間の休暇取得が可能だ。

 就職希望者らが列を成すなか、大竜の従業員たちがアフリカ諸国出身の人々と一緒に働くことについてどう思うのか幾らかの不安は残ると尾坂氏は話す。

「私にとっては問題でないが、わが社の従業員たちはアフリカ系の人を見たことがない」

 尾坂氏の会社では、外国人従業員と日本人従業員とで賃金に差はないという。だが支援者らによると、難民申請者に対する賃金差別は頻繁に起きるのだそうだ。