【4月1日 AFP】世界ボクシング評議会(WBC)は31日、同団体のヘビー級王者であるデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)が、ボクシングのリングで人を死に追いやりたいという趣旨の発言をした問題について、調査を行うと発表した。

 ワイルダーは記録に「死体」を加えたいと発言し、業界内にはワイルダーへの嫌悪感が広がっている。リング上での自らの人格を「ブロンズ・ボンバー(銅色の爆撃機)」と呼ぶワイルダーは、米ニューヨークのラジオ番組で「死体が一つ記録に欲しい。欲しいんだ。心から」と話した。

「『ブロンズ・ボンバー』がそう言ってる。やつが求めてる。いつも言ってるが、リングに上がったら俺は『ブロンズ・ボンバー』になる。やつといるのは実にクレイジーで、すべてがどうでも良くなる。俺のすべてが変わる。緊張はなくなり、恐怖も消える。対戦相手への感情も消え失せる」

 さらにワイルダーは、9回KO勝ちを収めた2016年のアルツール・スピルカ(Artur Szpilka、ポーランド)戦では、あと少しでその目標を達成できたとまで言った。

「俺のパワーがあればやるのは簡単だ。前にスピルカとやったときは、手に入ったと思ったよ。キャンバスに倒れたあいつは息をしていなかった。魂が抜けかかっていた」

 この発言に対し、ボクシングファンはツイッター(Twitter)で不快感を示し、英国のクルーザー級のボクサー、トニー・ベリュー(Tony Bellew)も「もし本気なら恥ずかしい男だ! 大半の選手には養うべき家族がいる。子供を持つ父親を殺したいってことか? 救いようのないばかだ!」と憤った。

 英国のボクシング界は今もまだ、2月にこの世を去ったスコット・ウェストガース(Scott Westgarth)を悼んでいる。その中での発言ということもあって、WBCのマウリシオ・スライマン(Mauricio Sulaiman)会長は失望感を示し、WBCの規律委員会に諮るとツイッターで話している。

「見過ごすわけにはいかない重大な報告で、もし本当ならWBCの倫理規定に反する。受け入れられないことだし、WBCの規律委員会でこの細心の注意が必要な問題を検討する」 (c)AFP