【4月1日 AFP】イエメン西部ホデイダ(Hodeida)で3月31日、大規模な火災が発生し、当局者によると国連(UN)世界食糧計画(WFP)の倉庫が燃えて人道支援物資が焼失した。

 イスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」に掌握されたサバ(Saba)通信は、大規模な火災で大量の支援物資が焼失したと報じた。同通信は詳細を明らかにしていないが、ホデイダの当局者は倉庫4棟が全焼し食料50トンが焼失したとみられるとAFPに語った。

 ホデイダは紅海(Red Sea)沿岸の要衝で、現在はフーシ派の支配下にある。内戦で荒廃した同国で日々の食料を海外からの支援に頼る人々にとってホデイダ港は生命線でもある。国連によればイエメンは飢餓に直面している。

 大規模火災を受けて、国際社会が承認するイエメン政府側の当局者は火事の原因を究明する人員の派遣を国連機関に要請した。

 一方、国営のサバ通信がフーシ派に掌握されたためにサウジアラビアが設立した同名の通信社「サバ通信」によると、アブドルラキ―ブ・ファトフ(Abdelrakib Fateh)地方行政相は「火事の背後にいる犯罪者らは罰せられるべきだ」と述べ、暗にフーシ派を非難した。

 フーシ派と対立するアブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)暫定大統領を支援するサウジアラビアは2015年3月、首都サヌアを占拠したフーシ派を撃退するため連合軍を主導してイエメン内戦に軍事介入した。以来、1万人近くが死亡し、約5万3000人が負傷している。

 国連によると、イエメンでは2220万人が支援を必要とし、840万人が飢餓に直面するなど、内戦が世界最悪規模の人道危機を招いた。食料を輸入に頼るイエメンでは、コレラやジフテリアの流行も深刻な問題となっている。(c)AFP