【3月30日 AFP】フランスで最近発生した銃撃事件の犯人が、潜在的脅威をもたらす人物としてマークされていたことから、イスラム教過激派と疑われる人物らを仏当局はどのように把握しているのかという点について、改めて注目が集まっている。

 フランス内務省は、潜在的危険とされる左翼や極右の活動家を含め、過激派の疑いがあるあらゆる人物のリスト「Sファイル」を作成している。さらにこれとは別に、テロの脅威をもたらすと判定した人物を対象にしたテロリスト過激化防止ファイル「FSPRTファイル」もある。

 今月23日に仏南部の町カルカソンヌ(Carcassonne)とトレブ(Trebes)で起きた銃乱射事件を実行したラドワン・ラクディム(Radouane Lakdim)容疑者は、2014年5月に「Sファイル」に、2015年9月に「FSPRTファイル」に加えられていた。

■「脅威」として認識されているのは何人か?

「FSPRTファイル」に掲載されている人数は、今年2月2日時点で計1万9745人。このファイルで挙げられている人物の脅威の度合いは様々で、女性と握手をしないという理由で上司が通報した人物や、最近イスラム教に改宗した未成年者なども含まれている。

 しかし、より深刻なケースとして、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の構成員と連絡を取っている人物や、イラクやシリアのIS支配地域に渡航した人物、あるいは渡航を望んでいる者らも含まれている。このファイルにはさらに容疑者間のつながりの可能性に関する記録も含まれている。

 一度リストに掲載されると、その人物は5年間は掲載されたままになる。だが、必ずしも厳重な監視下に置かれるわけではない。