【3月30日 AFP】米ネバダ州アスレチック・コミッション(NAC)のボブ・ベネット(Bob Bennett)理事が、薬物検査で陽性反応を示したボクシング元世界ミドル級王者のサウル・アルバレス(Saul Alvarez、メキシコ)を、正式に告発していたことが29日に判明した。これによって、同階級3団体統一王者のゲンナディ・ゴロフキン(Gennady Golovkin、カザフスタン)との再戦が危ぶまれる状況に陥っている。

 すでに暫定的な資格停止処分が下されていたアルバレスに関して、ベネット理事が今週、同コミッションに具体的な処分の検討を要請していたことが明らかになった。この問題については当初、来月10日に聴聞会が開かれる予定になっていたが、地元メディアによると理事は同18日の定例会議でこの問題を取り上げるように求めたと伝えられた。

 アルバレスは今年2月に実施された2度の検査で、アナボリックステロイドのクレンブテロール(clenbuterol)に陽性反応を示したが、その理由として同選手の陣営はこの薬物が肥育牛(食肉用に飼育される牛)に使用されることがあるメキシコで食べた肉が原因であると説明していた。

 ベネット理事は訴えの中で、アルバレスは「使用、摂取および食物摂取、あるいはいずれかの方法でクレンブテロールを体内に取り込んだ。それが意図的であろうとなかろうと、反ドーピング規定違反に相当する」と主張。正式に告発状が出されたことで、5月5日に予定されている注目のゴロフキンとの再戦に黄信号がともった。

 地元紙ラスベガス・レビュー・ジャーナル(Las Vegas Review-Journal)と米スポーツ専門チャンネルESPNの報道では、会場のTモバイル・アリーナ(T-Mobile Arena)を所有するMGMリゾーツ・インターナショナル(MGM Resorts International)が、観戦チケットの払い戻しを開始したとされている。

 無敗王者のゴロフキンとアルバレスは昨年9月16日のタイトルマッチで互角の勝負を繰り広げ、ジャッジ全員のスコアが分かれて物議を醸す中で引き分けた。

 アルバレス側が薬物検査で失格になったのは食肉汚染が原因であると主張したのに対し、ゴロフキンは前週、米ロサンゼルス東部ビッグベア(Big Bear)の練習施設に集まった報道陣の前で、「カネロ(Canelo、アルバレスの愛称)は不正を働いている。彼らはああいった薬物を使用しているが、みんな何もなかったようなふりをしている」と一蹴した。(c)AFP