【3月30日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長は、父の後を継いでからの6年間で国内における自身の権威を確立し、北朝鮮をこれまでに例のない核の高みに押し上げた。そして今、国外でその力を振るおうとしている。

 自身が権力の座に就いてから中朝関係はぎくしゃくしていたが、金氏は今週、北朝鮮の昔からの支援国・中国を電撃訪問した。金氏が指導者の地位に就いてから、国外の地に立ったとされるのは初めてだ。

 これまで、金一族の3代目の正恩氏は、祖国を離れることなく、世界の舞台に並外れた足跡を残す能力を繰り返し見せつけてきた。30代半ばの金氏は、北朝鮮を核兵器と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の保有国とし、ICBMは米国を含む世界全体を射程に収めていると豪語している。

 3月には、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が金氏と首脳会談を行う意向を示したことで、北朝鮮の世界からの孤立という大きな外交的困難も乗り越えた。

 金氏が20代で父の後を継いだときの情勢とは対照的だ。当時金氏は、試練を乗り越えたこともない、脆弱(ぜいじゃく)な、北朝鮮の高官のあやつり人形ではないかとみられていた。

 しかし、金氏は相手が最高級の高官であろうとも異議に対して厳しく――時に残忍に――振る舞うことで自身の気性を示して見せたほか、国際社会をも積極的に挑発するスタンスを取っている。

■政敵を粛清

 金氏は朝鮮労働党と軍の双方の絶対的な権力を握っており、政敵を無慈悲に粛清することもある。

 粛清対象で最も高位だったのは金氏の叔父の張成沢(チャン・ソンテク、Jang Song-Thaek)氏で、2013年に突然処刑された。国営メディアは張氏にはさまざまな罪や政治的な過失があったこととし「卑劣な人間のくず」と非難した。

 昨年にはマレーシアの空港で金氏の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が白昼堂々、神経剤で暗殺された。ほとんどの専門家は、首謀者は北朝鮮以外あり得ないと語っている。

 人権団体によると、北朝鮮では虐待が横行しており、政治犯収容所では8万~12万人の受刑者が苦しい生活を送っている。