■「今までで、唯一最良の決断だった」

 クローン製作のプロセスについて動物の権利擁護者らは、卵細胞を提供し胚を宿す犬に不当な苦しみを強要するとして強く反対する。

 動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」のイングリッド・ニューカーク(Ingrid Newkirk)代表は「クローンの製作は失敗する率が高いので、多くの犬が出産のたびにおりに入れられ、苦しめられているのが実態だ」と指摘した。

 クローンされた動物に受け継がれる可能性のあるのは、気性や身体的特徴、遺伝的欠陥などだ。体毛の模様は異なることもある。ましてや、元のDNAの持ち主が飼われていた状況について、製作されたクローンは知る由もない。

 マストさんによると、ビリービーンから作られた子犬はビリー同様、遊び好きで恐れを知らないという。小柄な体格、輝く体毛、そして大きな足も同じだ。「2匹はまったく同じに見える。頭を垂れて人の膝に転がり込む動作など、この子はビリービーンと同じような行動をとる」

 娘のミヤさんが死去した10年前の日と同じ週に新しい子犬は生まれた。「今までで、唯一最良の決断だった」とマストさんは述べ、「私は元気を取り戻すことができた」と続けた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN