【3月27日 AFP】イングランドラグビー協会(RFU)をはじめとする同国の統括団体が26日、試合中に脳振とうを起こす割合が全体で約25パーセント増となっているなど、故障者の数が増えていることを示す報告書を提示するとともに、防止対策の実行計画について発表した。

 RFUがトップリーグのプレミアシップ(Premiership)やイングランド選手協会(RPA)と共同でまとめた選手の負傷に関する報告書では、2016-17シーズンの統計が発表され、試合で脳振とうを起こしたケースは7シーズン連続で増加したことが示された。

 これを受けて、報告書では国際統括団体のワールドラグビー(World Rugby)に対し、タックルに関する規制の強化に加え、頭部への接触はあらゆるけがや脳振とうのケースと「違いはない」ものであり、絶対に許さない姿勢を取るように提案されている。

 RFUの医療部門で責任者を務めるシモン・ケンプ(Simon Kemp)氏は、「ワールドラグビーにはタックルの許容範囲を減らすことを考えてもらいたい」とすると、「肩より上にタックルするハイタックルの規定範囲は微妙だ。それはワールドラグビーが考慮すべき問題であり、われわれは彼らが現在その最中であることを承知している」と述べた。

 報告書によると、2016-17シーズンのプレミアシップでは1試合平均3.8人(1チーム平均では1.9人)が負傷しており、負傷の重度として試合に復帰するまでの日数は平均32日となっている。また、試合中の負傷者の47パーセントがタックルに関連するもので、タックルした選手とボール保持者は等しく負傷しているほか、練習中にけがをするケースも増加しているという。

 RFUのプロフェッショナル・ラグビー部門の責任者を務めるナイジェル・メルヴィル(Nigel Melville)氏は、タックルが認められる高さは「グレーゾーン」でレフェリーによって解釈が異なるとしており、「選手をはじめ、プロチームとワールドラグビーが協力し、この問題に関する改善された知識体系を構築し、情報に基づいた良い決断を下せるようにしてもらいたい」と述べた。

 RFUなどの3団体は報告書とともに8項目の実行計画を提示しており、タックルの高さをはじめ、選手への負荷に関する調査の実施または継続、練習中の故障のリスク、そして人工芝のピッチが与える影響などについて言及している。

 プレミアシップのラグビーディレクターを務めるフィル・ウィンスタンレー(Phil Winstanley)氏は、けがはイングランドラグビー界だけの問題ではないとして、「これはラグビー界全体の問題であり、ワールドラグビーには全員に利益をもたらす解決策の特定に従事することを期待している」と述べた。(c)AFP