【3月27日 AFP】人間活動は世界各地で動植物の衰退を助長し、乱獲や汚染により自らの幸福をも危機にさらしていると警告する種の包括的調査報告書が23日、発表された。

 南米コロンビアのメデジン(Medellin)で開催された「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」の総会で発表された報告書は、世界を南北アメリカ、アフリカ、アジア太平洋、欧州・中央アジアの4地域に分け、生物多様性などについて包括的に調査したもの。

 報告書によると、抜本的な対策が取られなければ、アジア太平洋地域の水産資源は2048年までに枯渇し、2050年までにサンゴの最大90%が「深刻な劣化」に見舞われる。アフリカ地域では、2100年までに鳥類や哺乳類の半数以上の種が絶滅する恐れがある他、湖水における多産性が20~30%減少する。また南北アメリカ地域では、評価対象となった種の4分の1弱が絶滅の危機に直面している。

 報告書は、「こうした憂慮すべき傾向は、経済や暮らし、食の安全の他、あらゆる場所で人々の生活の質を危険にさらしている」と指摘した。

 3年にわたり600人近い科学者らによってまとめられたこれらの報告書は、自然は人間に食料や清潔な水、エネルギーを提供する他、地球上の気象など私たちが生き延び、繁栄するのに必要なあらゆるものの調整を行っていると強調している。

 報告書の一つでは、人間に対する自然の貢献度は、年間1ヘクタールあたり数千ドル(数十万円)に相当する可能性も明らかになった。

 IPBESのロバート・ワトソン(Robert Watson)議長は、「私たちは、自分たちの未来の幸せをむしばんでいる」と述べ、「生物多様性は、地球上のあらゆる地域で失われ続けている。種は減り、生態系は劣化している。もし『従来のビジネス』を継続すれば、多様性はますます速いペースで失われ続けるだろう」と指摘した。