【3月26日 AFP】ネパールで昨年末に救出された、同国最後とされる「踊る熊」2頭のうち、1頭が移送先の動物園で死んだことが分かった。この事態を先週の21日に明らかにした動物愛護活動家は、熊の死は動物園側の「怠慢」によるものと非難している。

 19歳の雄のランギラ(Rangila)と17歳の雌であるスリデビ(Sridevi)の2頭のナマケグマは、芸を仕込まれ、見せ物とされていたが、警察と動物愛護団体が昨年12月、ネパール南部で大道芸人の下から救出した。

 2頭はその後間もなく、首都カトマンズ近くの動物園に移送され、展示用のおりに入れられたものの、数週間後にスリデビが死んでしまったという。

 2頭の救助に携わった動物愛護団体「ジェーン・グドール・インスティテュート・ネパール(Jane Goodall Institute Nepal)」のニラジ・ゴータム(Niraj Gautam)氏は、「スリデビは肝臓に問題があり、黄疸(おうだん)だったと聞かされていた」と語り、「2頭は徹底的に検査されるべきだったが、何もしなかった。それは怠慢だと指摘したい」と強調した。

 一方、同国政府は国内で2頭を収容できる施設はその動物園だけだったとし、世話に当たった動物園側を擁護した。

 熊の見せ物は1972年にインドで公式に禁止され、翌年にはネパールでも非合法化された。しかし、ネパール南部の一部地域では最近まで存続していた。(c)AFP