【3月25日 AFP】インドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島の村に住むママ・ハスリア(Mama Hasria)さん(46)は、川の上流に向かって、約200個の空の容器を泳いで運ぶ。ハスリアさんや他の地元の女性たちが、自分たちの村などで必要な清潔な水をくむために毎日行っている仕事だ。

 強い日差しが照り付ける中、ハスリアさんは上流に向かって濁ったマンダール(Mandar)川を1時間かけて4キロ泳ぐ。上流の川岸には、天然の浄水フィルターの役割を果たす周囲の土によって飲料に適したきれいな水がある。

 こうした水くみでハスリアさんらが得る利益は、容器1個当たり500ルピア(約0.35ドル=約4円)、全部では7ドル(約730円)程度。だがティナンブン(Tinambung)地域の約5800世帯を支える重要な仕事だ。

 3月22日は国連(UN)が定めた「世界水の日(World Water Day)」で、今年は世界各地の飲料水の確保に向けて「自然を基盤とした」解決策に重点が置かれた。

 ティナンブンでは数年にわたって、清潔な水の調達先が遠く離れた漁村に限られている現状に住民が不満を募らせており、世界水の日の課題を達成するのは困難な状況だ。

 数多くの環境問題を抱えるインドネシアだが、同様の水の問題で苦しんでいる地域は他にもある。首都ジャカルタ近郊で海に流れ込んでいるチタルム(Citarum)川は10年前、世界銀行(World Bank)によって「世界で最も汚染された川」と宣言された。

 チタルム川浄化のための取り組みが失敗した後、衛生上の非常事態に直面し、政府は2025年までに同川の水質を飲用に適した状態に改善するとの目標を掲げて介入。ただ、この目標の達成は不可能とみられている。(c)AFP