【3月25日 AFP】ポルトガルで24日、昨年発生し112人が死亡した森林火災の繰り返しを避けるため、森林の清掃や伐採を行う初の試みが始まった。

 国土の3分の2を占める森林のうち数ヘクタールが対象となり、アントニオ・コスタ(Antonio Costa)首相やマルセロ・レベロデソウザ(Marcelo Rebelo de Sousa)大統領ら約20人の政府高官も各地で行われた活動に参加した。

 南部アルガルベ(Algarve)地方のローレ(Loule)を訪れたコスタ首相は、「夏に発生する森林火災の件数を減らすにはリスクが高いエリアをきれいにすることが必要不可欠だということがポルトガルで初めて周知された」と語った。

 コスタ政権は2017年の6月と10月に発生した森林火災への対応が不十分だったとして厳しく批判された。これは長期間続いた経済危機と緊縮政策から脱した同国で2015年11月に発足し高い人気を誇っていた同政権にとって初の大きなつまずきとなり、コスタ首相は森林火災対策を最優先課題に掲げた。

 コスタ首相は2月、3月15日までに森林の清掃や樹木の伐採をしない土地所有者に最大12万ユーロ(約1550万円)の罰金を科すという厳しい新規則を打ち出した。しかし、かなり多くの地方当局者や環境団体などから期限が短すぎるとして激しい反発を招いたため、政府は期限を5月31日に延長した。

 当局は非常に燃えやすいユーカリを燃えにくいコルクガシに置き換えることを計画しているが、ユーカリを製紙原料として使う製紙業界の反発を招いている。ポルトガル中部の小規模な土地の所有者の多くはユーカリ産業で生計を立てている。

 地方の人口減少による地主の不在や高齢化により樹木の伐採が困難になっているという問題もある。(c)AFP/Bruno CRAVO