【3月24日 AFP】シリアの首都ダマスカスの近郊、東グータ(Eastern Ghouta)で23日、3か所に分断されていた地区のうち一か所から反体制派側が撤退し、もう一か所でも撤退が合意された。政府側は1か月余りの戦闘で東グータの支配権を完全に取り戻そうとしている。

 首都近郊最後の反体制派支配地区である東グータは、2月18日に始まりロシアも支援した激しい攻撃によって3か所に分断され、各地区をそれぞれ異なる反体制派勢力が支配していた。

 シリア政府と同盟国ロシアは6年にわたる反体制派による東グータ支配に終止符を打つべく「撤退か死か」戦略を取り、激しい空爆を行ってきた。

 国営テレビは、撤退合意により反体制派イスラム武装組織「アフラール・シャーム(Ahrar al-Sham)」の戦闘員とその家族がハラスタ(Harasta)の町を出てバスで北西部イドリブ(Idlib)県に向かい、町から「テロリストは一掃された」と伝えた。イドリブ県は現在もおおむね反体制派が支配している。

 在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、今回の撤退により政府側は東グータの90%以上を支配下に収めたことになる。また、この撤退合意に先立ちロシア軍は22日夜、東グータのアルビン(Arbin)に「焼夷(しょうい)性の兵器」を使った空爆を実施し、民間人37人が死亡していたという。

 AFPの記者も東グータ最大の町ドゥマ(Douma)に焼夷弾のようなものが投下されるのを目撃しているが、ロシアはそのような兵器を使った空爆は一切行っていないと否定している。(c)AFP/Maher al-Mounes with Hasan Mohamed in Douma