【3月24日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は23日、2018会計年度の連邦政府支出を賄う総額1兆3000億ドル(約136兆円)規模の歳出法案に署名した。法案は与野党の妥結を経て議会で採択されたもので、大統領は多くの項目に「不満」があると表明しているが、署名により今年3度目となる政府機関の閉鎖は回避された。

 同大統領はホワイトハウス(White House)での記者会見で、法案が軍事予算を劇的に拡大することや、過去10年間以上で「最大の昇給」を米兵にもたらすことを理由に、「国家安全保障上の問題」として署名に応じたと説明。「この法案には不満なことがいくつもある。この法案には、盛り込むべきでなかったことがいくつもあるが、われわれはある意味で、軍を築き上げるために(そうした項目の追加を)強いられた」と述べた。

 法案は22日に共和党が多数を占める下院を滞りなく通過し、翌23日未明には上院も通過。ホワイトハウスの側近らは、大統領が法案に署名する意向だと述べていた。だが大統領は同日早朝、「拒否権行使を検討している」とツイッター(Twitter)に投稿し、政府周辺で不安が高まっていた。

 法案への支持を撤回したかのような大統領のツイートを受け、ホワイトハウス職員らは対応に追われ、大統領が実際には法案に署名する意向だと弁明。政権内の混乱が再び浮き彫りになる形となった。

 大統領は、政府機関閉鎖の期限を目前に、密室での協議と切迫した状況下での議会採決が行われたことに嫌悪感を隠さず、「このような法案にはもう二度と署名しない」と表明。会見場の机に2232ページの法案を積み上げ、「誰も読まなかった。たった数時間前に作られたばかりのものだ」と述べた。

 法案の目玉は、軍事支出を610億ドル増の7000億ドル(約73兆円)へと大幅に引き上げることと、国内支出を10%増の5910億ドル(約62兆円)とすること。国境地帯の保安費用と、総延長160キロ近くに及ぶ国境フェンスの設置・修復費用には16億ドル(約1680億円)が計上されたが、この額は大統領の希望額を大きく下回る。

 一方、未成年時に親に連れられ不法入国した移民、いわゆる「ドリーマー(Dreamer)」の法的位置付けが不確定になっている問題が棚上げされたことは、民主党側にとって大きな打撃となった。この問題は、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権下で導入されたドリーマー救済制度「DACA(ダカ)」をトランプ政権が廃止したことで生じたもので、今月5日の制度失効後も法廷での争いが続いている。

 大統領は、DACAを歳出法案に盛り込みたかったものの、「民主党がそうしようとしなかった」と主張した。(c)AFP/Andrew BEATTY, Michael Mathes