【3月23日 CNS】香港の大富豪として知られる「長江」の李嘉誠(Li Ka-Shing)主席は16日、同集団の年度業績発表の席上で引退を表明し、長男の李沢鉅(Victor Li)氏が後継者になると発表した。

 長江のグループ企業である長江和記実業(CK Hutchison Holdings)、長江実業集団(Cheung Kong Holdings)、長江基建集団(CK Infrastructure Holdings)、電能実業(Power Assets)の4社が同日、同時に2017年の業績を発表した。

 今年7月で満90歳を迎える李嘉誠主席は、後継者問題については早くから準備していたとされる。長江の現副主席である沢鉅氏は、父親のもとで30年以上の経験がある。また、昨年の長江集団の業績報告会でも、嘉誠主席は笑顔で「安心して会社を任せられる。私は基金会の高級顧問になる」と言及していた。

 嘉誠氏は1928年、広東省(Guandong)潮州市(Chaozhou)で生まれた。40年代に家族と共に香港(Hong Kong)へ。その後、裸一貫から起業して香港の大富豪に上り詰めた。

 最初に始めたのはプラスチック関連の仕事で、業務の拡大・発展に伴い、不動産、通信、ホテル、小売り、エネルギーなど多くの領域に手を広げた。

 米経済誌フォーブス(Forbes)が今年発表した香港の長者番付では、李嘉誠氏の総純資産は360億ドル(約3兆8000億円)で、20年連続で香港富豪のナンバーワンの座を保持している。

 また、1980年に李嘉誠基金会を設立し、公益事業を始めた。現在までの寄付金は200億香港ドル(約2700億円)に上る。寄付先は世界27の国・地域で、このうちの80%以上が華人社会に贈られている。(c)CNS/JCM/AFPBB News