【3月23日 AFP】太平洋に漂うプラスチックごみの量は、これまでに考えられていたよりはるかに多く、面積で見るとフランス、ドイツ、スペインの国土よりも大きいことが、22日に発表された調査論文で明らかになった。論文によると、海上のごみはさらに増え続けているという。

 オランダを拠点とする研究者らは今回、海上と上空から「太平洋ゴミベルト(GPGP)」として知られているビンや各種容器、漁網、微粒子といった膨大な量の海洋ごみが集中している海域を調べ、中でもプラスチックごみの量が膨大であることを突き止めた。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された調査論文の主著者のローラン・ルブルトン(Laurent Lebreton)氏は、AFPの取材に「GPGPには現在、約8万トンの浮遊プラスチックがあることが分かった」と語った。これは、ジャンボジェット500機の重さで、過去の調査で指摘されていたものよりも最大で16倍多い。

 だが調査チームに大きな衝撃を与えたのは、米ハワイからカリフォルニアの間の海域にここ数年で蓄積されたプラスチックごみの量だった。それはプラスチック片で約1兆8000億個に上り、海洋生物に二重の脅威となっている。

 GPGPのごみの多くは大きさ50ミリメートル以下の微細なプラスチック片で、魚がのみ込むと食物連鎖に入り込むことになる。その汚染物質の濃度はサメやアシカ、ホッキョクグマなど食物連鎖の頂点に達するにつれて高くなる。

 オランダのスタートアップ「海洋浄化基金(Ocean Cleanup Foundation)」の研究者と技術者からなる75人のチームは、GPGPのごみの約半分を5年以内に回収することを目標にしている。風と潮流で漂う浮揚バリア数十基を建造し、ごみ回収にあたる計画だ。

■増え続けるプラスチックごみ

 国際標準化機構(ISO)によると、世界のプラスチック生産は2015年に3億2200万トンに達した。今回調査を実施した海洋浄化プロジェクトによると、海洋に入り込むプラスチックごみは毎年800万トンに上るという。

 GPGPの状況を把握するため、プロジェクトでは船30隻と高度なセンサーを取り付けた飛行機2機を投入。その結果、ごみの面積は今や160万平方キロメートルにまで広がっており、さらに拡大を続けていることも分かった。

 研究論文は「GPGPの海中および海底のプラスチック汚染レベルは不明」であるとしており、この世界最大量のプラスチックごみ問題の本当の規模はまだ何も分かっていないことを指摘している。(c)AFP/Patrick GALEY and Marlowe HOOD