【3月23日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)では、八百長が疑われる行為を特定するために最新式の監視システムが導入されることになっている。インターネット上で試合の放映を行うメディア企業でブックメーカーに試合の映像を提供しているパフォーム(Perform)社は、世界規模の大会といえども八百長の心配はないと油断している場合ではないと警告した。

 パフォーム社でインテグリティ性管轄部門の責任者を務めるジェイク・マーシュ(Jake Marsh)氏によると、W杯は国の威信をかけた試合であることや、中には誤解もあるが、出場選手が高い給与を得ているというイメージがあるからといって、不正行為のターゲットにされていないという根拠にはならないという。

 10年以上前から八百長問題と闘っているマーシュ氏は、イングランド・プレミアリーグ、チェルシー(Chelsea)の本拠地スタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge)で21日に開かれたサッカーギャンブルに関する会議の席で、「W杯予選で八百長があったことを突きとめている」とすると、「従って、本大会でも不正の恐れがないとはいえない」と述べた。

「ある2つの国が戦った昨年の国際親善試合を監視していたところ、その片方の国はホテルの宿泊費を支払えなかったが、その国がW杯に出場する可能性もあった。代表チームであっても疑わしい点がみられる場合があるため、(統括団体の)国際サッカー連盟(FIFA)は、注意深くW杯を監視している」

 フランス宝くじ公社(FDJ)でスポーツ保全ディレクターを務めるジレ・マイエ(Gilles Maillet)氏は、八百長が行われているのは不正が見つかりにくい大会であると考えるのは間違っていると主張した。

「非常に明確で注目すべき点は、八百長がしやすくコストも低くて済むという理由から、八百長行為は小規模の大会に集中していると多くの人が考えているということだ。その一方で、取引額の大きい世界的な大会では巨額の賭け金に隠れてしまい、八百長が見破れらにくくなる可能性がある」

■疑わしいパターン

 今年6月14日から7月15日まで開催されるW杯では、どの試合でもブックメーカー各社が疑わしいパターンに関する対策を取っているという。

 マイエ氏は、「特にW杯のような大きな大会では、われわれの活動は国際レベルで行われている」とすると、「考えられるリスクを具体的に特定するために、大会前には必ず会議を開いている。そして、3日ごとに主要メンバーによる電話会議を開いて情報を交換しているほか、当然ながら主催者がリスクの可能性があると判断する材料に関してもフィードバックを行っている」と述べた。

「これはまさに、先日の冬季五輪期間中にも行われていたことだ。われわれは3日ごとに国際オリンピック委員会(IOC)と連絡を取り、動きが異なるオンラインと小売り市場におけるそれぞれの傾向など、何が起きているのか確認作業を行っている」 (c)AFP/Pirate IRWIN