【3月25日 CNS】中国の労働者人口が頭打ちに近づく中、いかにしてIoTなどを活用した「スマートマニュファクチャリング」を発展させ、中国の経済成長の新たな原動力とするかが製造業界で注目されている。

 先日開かれた長江商学院(Cheung Kong Graduate School of Business)スマートマニュファクチャリングサミットで、項兵院長は「人工知能とロボット時代の到来は、安い労働力に頼った成長モデルの終わりを意味している。従来のやり方はすでに過去のものとなりつつあり、新たな方法へ転換することが重要になっている」と語り、スマートマニュファクチャリング推進の必要性を強調した。

 中国のスマートマニュファクチャリングは長足の進歩を遂げた。市場調査によると2016年の中国のスマートマニュファクチャリング産業生産額は1兆4000億元(約23兆3798億円)。11年から5年間の年平均成長率は20%を超えており、GDPの成長率を大幅に上回った。

 しかし業界専門家は、「現在の中国のスマートマニュファクチャリングにはさまざまな問題が存在する」と見ている。

 国家発展改革委員会専門家評議委員会の徐東華主任は、「多くの産業は最初だけ勢いがいいが、尻すぼみになる。低機能品が過剰生産され、高付加価値製品が明らかに不足している」と指摘した。スマート製造産業の投資状況も順調とは言えない。長江商学院の甘潔副院長によると、2017年の中国の製造企業の3分の2は研究開発に投資していない。甘副院長は、「投資家の多くは主にインターネットや商業モデル分野での経験をもとに、製造業に投資するが、忍耐力に欠け、工業インターネットの複雑さを過小評価している」と分析している。

 甘副院長はまた、「現在、スマートマニュファクチャリング分野はイノベーション技術レベルや人材不足、企業内部管理などの問題を抱えている」と指摘した。

 中国電子情報産業発展研究院(CCID)の卢山院長は、スマートマニュファクチャリングは一つの方法だが、はっきりとしたロードマップがないため、企業は自社ごとの戦略を持つ必要があるとし、「企業は自身の競争環境や成長目標に応じて、タイムスケジュールやロードマップをつくらなければならない」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News