【3月22日 AFP】2017年に行われたイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)の中国人実業家への売却について、イタリア当局が捜査を開始した。21日に地元スポーツ紙ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)が報じた。

 同紙によると、「疑わしい取引に関する報告」がここ数か月で3件、イタリア銀行(Banca d'Italia、中央銀行)の金融情報部門から、金融犯罪を扱う財務警察(Guardia di Finanza)へ寄せられ、国際問題と金融取引犯罪を担当するミラノの次席検事が、容疑や被疑者を定めずに捜査を開始することを決めた。

 警察に送られた報告には、昨年のクラブ売却に関する情報も含まれているという。ミランは2017年、海外の投資ファンドの資金援助を受けた中国のコンソーシアムが7億4000万ユーロ(約965億円)で買収し、イタリア元首相のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏から中国人実業家のリー・ヨンホン(Li Yonghong)氏にオーナーが変わった。

 そして昨年夏には2億ユーロ(約260億円)以上を投じる大型補強を敢行したが、財政の安定性は疑問視されており、欧州サッカー連盟(UEFA)の定めるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の規定を上回る巨額の返済ローンを抱えたまま、UEFAとの交渉も行き詰っている。

 このままでは、ミランは仮に来シーズンの欧州カップ戦の出場権を得た場合でも、出場が認められない可能性がある。

 ミランは現在、米国のバンクオブアメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)を通じて借金の借り換え先を探している。買収資金を提供した米ヘッジファンドのエリオット・マネジメント(Elliott Management)も、UEFAが今後行う監査に備えて、3000~4000万ユーロ(約40~52億円)の追加融資を準備しているとも報じられている。

 リー氏は2月、「私の資産状況は安全かつ健全で、クラブと私の会社はどちらも順調に機能している」と主張していた。

 ミランの売却については、資金洗浄に使われたため額が膨らんだのではないかという疑いも出ていて、1月には捜査が開始されたと報じられたこともあったが、検察は「ACミランの売却に関して、現時点では犯罪捜査の手続きは開始されていない」と報道を否定していた。(c)AFP