【3月21日 AFP】2016年の米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営と契約していた英企業ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)は20日、アレクサンダー・ニックス(Alexander Nix)最高経営責任者(CEO)を停職処分にしたと発表した。同社をめぐってはフェイスブック(Facebook)利用者5000万人分の個人データを不正利用した疑いが浮上。さらにニックス氏には、汚い手を使って政敵を陥れるサービスを売り込む様子などを隠し撮りした映像が公開されていた。

 英国の報道番組「チャンネル4ニュース(Channel 4 News)」は19日、ニックス氏が自社について、賄賂やセックスワーカ―、元スパイらを使って政敵を陥れることができると豪語した隠し撮りの映像を放送。20日にはさらに、トランプ(Donald Trump)陣営のための調査や分析、インターネットやテレビでの選挙活動は同社がすべて担ったなどと、トランプ氏の選挙活動で自社が大きな役割を果たしたと自慢する映像も公開された。

 ケンブリッジ・アナリティカの取締役会は声明で、隠し撮りされたニックス氏の発言や、その他の疑惑は自社の価値観や事業を表していないと指摘。CEOの停職は今回の違反行為をどれだけ重く見ているかの表れだと述べた。第三者に対し、同氏の発言や一連の疑惑について独立した調査を依頼したことも明らかにした。

 映像の中でニックス氏は、自動的に消去される秘密の電子メールの使用にも言及。「証拠は残らない。記録も残らない。全てなくなるんだ」と述べ、読んでから2時間後に自動削除されるシステムについて説明している。

 さらにニックス氏は、昨年に証拠を提供した米下院情報委員会のメンバーについて、民主党議員は「負け惜しみ」が調査の動機で、共和党議員はほとんど質問をしなかったなどと侮辱している。

 チャンネル4ニュースでは、昨年10月に行われたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官とのインタビューも放送。ヒラリー氏はその中で「大規模なプロパガンダ活動」に直面していたと振り返るとともに、ロシアによる大統領選干渉疑惑にケンブリッジ・アナリティカが関わっていたとしたら「非常に憂慮すべきことだ」と指摘した。(c)AFP