【3月20日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が昨年2月、マレーシアで殺害された事件で、殺人罪で起訴された女2人のうち、ベトナム国籍のドアン・ティ・フオン(Doan Thi Huong)被告に対する公判が20日、クアラルンプール郊外の高等裁判所で行われた。被告側は、いたずらを仕掛けるものと思い込んでおり、金氏が死亡したことも逮捕後に初めて知ったと主張した。

 被告側の弁護士らは、両被告がいたずらを仕掛けるテレビ番組に出演すると思い込まされ、北朝鮮工作員らが綿密に練り上げた計画の実行犯に仕立て上げられたと訴えてきた。

 ドアン被告の弁護士はこの日の公判で、事件への関与が疑われる北朝鮮工作員4人のうちの1人が、同被告をいたずらの仕掛けだと思い込ませて起用したと話した。

 公判に提出された警察への供述書によると、被告は事件の数日前、現場となったクアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur international Airport)を2度訪れ、Y氏と呼ばれる北朝鮮人に会った。先の公判で、この人物の本名はリ・ジヒョン(Ri Ji Hyon)で、他の北朝鮮人容疑者と共に事件直後、マレーシアを去ったことが明かされている。

 事件当日、Y氏が被告に油状の物質を手渡し、被告はそれを男性の顔にこすりつけた。そして手を洗い、タクシーでホテルに戻ったとされる。供述書によると、被告が男性の死を知ったのは、逮捕翌日、警察の話によってだったという。(c)AFP