【3月21日 東方新報】中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)が4月1日以降は一人あたりのQRコード決済の上限額を500元(約8352円)に制限すると発表した。一部の消費者から500元では足りないと不満の声が上がっているが、業界関係者は、「一部の消費者は、静的コードと動的コードの区別がつかないために誤解が生じている」と指摘する。

 印刷されたQRコードを、消費者がスキャンして支払う場合に使用されるのが、静的コード。一方、消費者が自分の携帯電話の画面にQRコードを表示させ、店側がスキャンして決済するときに使用されるのが動的コード。道端の露店などは静的コードを使用する場合が多く、店舗では動的コードを使用する場合が多い。

 今回の500元上限の規制が適用されるのは、静的コードの決済だ。

 店舗が顧客のアリペイ(Alipay)やウィーチャットペイ(WeChat Pay)のQRコードを読み取る方式なら、500元の制限は受けない。

 QRコード支払いが急速に発展するにつれて、QRコードを悪用した詐欺も増えている。最も多いのは、店頭に貼ってあるQRコードを別のものにすり替える手口だ。QRコードは複雑で、自分のものかどうか見分けが付かない。

 その結果、店の売り上げが犯人の口座に入ってしまう。QRコードに細工をし、スキャンしたスマホがハッキングされてしまうこともあるという。業界関係者によると、95%の消費者のは1日の静的QRコードの決済額は500元以下だという。

 静的コードの安全性は、リアルタイムで生成される動的コードには遠く及ばない。動的コードは1分ごとに更新されるため、安全性は極めて高い。専門家は、「できるだけ静的コードで支払うことは避け、自身の動的コードをスキャンさせるようにしたほうが安全だ」と話した。(c)東方新報/AFPBB News