【3月19日 AFP】サウジアラビアの砂漠の中を目を細めて歩きながら、フセイン・ハリファ(Hussain al-Khalifah)さんは、自身が発見した考古学史上先例のない遺物を指さした。赤褐色の岩に彫られたラクダの彫刻だ。この発見は、岩壁や巨石に彫刻や絵を施すロックアートの進化に新たな光を投げ掛ける可能性がある。

 ラクダの彫刻は北部ジャウフ(Al-Jouf)州の砂漠沿いの私有地で発見され、約2000年前のものと推定される。十数ほどある彫刻の一部は、浸食や破壊行為によって損傷している。

 ラクダの他にもウマ科の動物なども彫られており、サウジアラビアの砂漠で発見された他のロックアートには見られない高度な技術がうかがえる。これらの彫刻は、アラビア半島(Arabian Peninsula)の古代の生命の謎を解明する助けになるかもしれない。

 今や考古学界では「ラクダの地」として知られるジャウフ州の荒涼とした土地を案内しながら、ハリファさんは「これらは芸術的かつ創造的な作品です」と話した。

 2016年と2017年にこの地を調査したフランスとサウジアラビアの合同研究チームに加わったハリファさんは、これらの彫刻を数年前に偶然発見したという。

 何世紀にもわたって「砂漠の船」としてあがめられてきたラクダは、サウジアラビアの芸術作品のモチーフとしてなじみ深い。しかし、ジャウフ州の彫刻は、他の地域で発見されたものとは異なる。

 ドイツのマックス・プランク人類史学研究所(Max Planck Institute for the Science of Human History)のマリア・ グアニン(Maria Guagnin)氏は、「この立体彫刻は自然主義と規模の大きさという点で、卓越した技術を見せている」「先史時代のポピュレーションダイナミクス(個体群動態)と文化特性についての私たちの認識を変える可能性がある」と述べた。映像は2月23日撮影。(c)AFP