【3月19日 AFP】北朝鮮に拘束されている米国人3人の解放について、両国当局と仲介国のスウェーデンが協議に入っていることが明らかになった。米朝政府が最終合意に「ほぼ至った」と伝えられている。

 計画されている南北首脳会談や米朝首脳会談の実現へ向けて、関係国の外交活動が活発化する中、北朝鮮政権に対する「敵対行為」のかどで別々に拘束された韓国系米国人3人の解放について現在、複数のルートで協議が行われている。

 北朝鮮の首都平壌で金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長と会談した韓国特使が、北朝鮮側からの米朝首脳会談の提案をドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に伝え、トランプ氏が合意したと報じられたのは約2週間前。北朝鮮は自国からの提案であることを公式に認めていないが、今回の電撃発表からは、歴史的な会談の実現へ向けて信頼感の醸成を急ぐ意図が垣間見える。

 韓国MBCテレビの18日の報道によると米朝政府は、キム・ハクソン(Kim Hak-song)、キム・サンドゥク(Kim Sang-Duk)、キム・ドンチョル(Kim Dong-Chul)の3氏の解放に関する最終合意に「ほぼ至った」とされる。韓国外交筋の情報として「解放のタイミングについて詳細が詰められているところだ」と伝えている。

 韓国外交筋によると、交渉は北朝鮮の国連代表部と米国務省間のいわゆる「ニューヨーク・チャンネル」と呼ばれる非公式ルートを通じて行われたとされる。

 また、米CNNテレビは、17日に終了した北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ、Ri Yong-ho)外相のスウェーデン訪問の際にマーゴット・バルストロム(Margot Wallstrom)外相との間でも、3人の解放について協議されたと報じている。

 キム・ドンチョル氏は韓国生まれの米国人牧師で、2015年、北朝鮮でスパイ容疑で逮捕されて以来、拘束されている。2016年には労働教化刑10年の有罪判決を言い渡されている。

 またキム・ハクソク氏とキム・サンドゥク(英名:トニー・キム)氏は、北朝鮮国外の福音派キリスト教系団体が平壌に設立した平壌科学技術大学(PUST)で昨年、講義を行った際、「敵対的行為」の容疑で拘束された。(c)AFP