【3月17日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は16日、内外から懐疑的な声が上がっているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)について、今夏のW杯ロシア大会(2018 World Cup)で初めて正式に導入すると発表した。

 サッカーの規則作成を行う国際サッカー評議会(IFAB)が2週間前にスイス・チューリヒで開かれた総会で承認したことを受け、FIFAのジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は予想通りの決定事項として、「2018年のW杯で、初めてVARを導入する」と述べた。

 今年6月14日から7月15日に開催されるW杯では、ゴールやPK判定、一発退場のレッドカード、人の取り違えという重要な項目に関して疑いがあった場合にVARが使用されることになり、同会長は「この技術がレフェリーの助けとなり、重要な判定を下す際に、別の判断材料として利用できることを望んでいる。W杯は、とても重要な判断に迫られる」と話した。

 VARについては、2016年からドイツ・ブンデスリーガ1部やイタリア・セリエAなど約20か国のリーグで試験運用され、これまでに約1000試合で使用されてきた。

 しかし、欧州サッカー連盟(UEFA)でさえもまだ導入に踏み切れておらず、世界各国から歓迎されているわけではない。

 来季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)ではVARの導入を見送ると主張しているUEFAのアレクサンデル・チェフェリン(Aleksander Ceferin)は、「VARの有用性については、誰も確信が持てない。すでに多くの混乱が生じている」とすると、「全面的に反対するつもりはないが、いつ使用するのかもっと説明が必要だ。W杯でそれが判断できるだろう」と述べた。

 VARに関する否定的な意見では、問題なのは判定の正確性ではなく、判定が下されるまでの時間にあるとされている。試合の流れが止まってしまうことに多くの観客や熱心なファンが不満を訴えており、これが課題となっている。(c)AFP