【3月16日 AFP】「ヴェルサーチ(VERSACE)」のクリエイティブ・ディレクターであるドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)は英政治・経済誌エコノミスト(The Economist)のカルチャーとライフスタイル雑誌、「1843」のインタビューで、ヴェルサーチブランドは今後、本物の毛皮を使用しないとコメントした。変更の詳細については明かしていない。

 ドナテッラは「毛皮?もう興味ないわ」と話し、「ファッションのために動物を殺したくない」「間違っている気がする」とした。

 14日、伊ミラノにある「ヴェルサーチ」本社に問い合わせたが、コメントは得られなかった。

「1843」によるとこの発表は「180度の方向転換」で、同雑誌が14日に掲載したこの記事を執筆している時、「ヴェルサーチ」のウェブサイトではまだ「人々を振り向かせるファー付きのコート」をフィーチャーしていたとしている。

「ヴェルサーチ」は以前、コレクションから毛皮を排除した「アルマーニ(Armani)」、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」、「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」、「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」などのブランドに続き毛皮を禁止するよう求められたが、拒んでいた。

 世界的に毛皮貿易の廃止を訴えている国際人道協会(Humane Society International、HSI)によると、「ヴェルサーチ」は長年ミンクやタヌキなど、様々な品種の毛皮をコレクションで使用してきている。また、2017年秋冬コレクションにはミンクやキツネの毛皮のコートが含まれていた。

「『ヴェルサーチ』はグラマーの代名詞で、とても影響力のあるラグジュアリーブランド。そのブランドが毛皮を廃止したことで、思いやりのあるファッションが、いまだかつてないほどにトレンドになっている象徴と言えるだろう」と国際人道協会の英国支部のクレア・バス(Claire Bass)事務局長は話す。

 しかし国際毛皮連盟主催(International Fur Federation、IFF)はその決断に「失望した」としている。マーク・オーテン(Mark Oaten)CEOは、「トップデザイナーの多くは今後も毛皮を続ける。なぜなら、毛皮が自然の素材で、責任をもって生産されたものだと知っているから」と語った。「ファッション業界で環境やプラスチック問題に関心が集まっている今、デザイナーにとっても消費者にとっても、毛皮は自然で責任ある選択肢だと心から信じている」(c)AFP