【3月16日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロで人権派の市議マリエル・フランコ(Marielle Franco)さん(38)が暗殺されたとみられる事件を受けて、市民1万人以上が参加する大規模なデモが15日、行われた。

 リオ中心部で14日、フランコさんが乗った車が横付けしてきた車から銃撃され、フランコさんは銃弾数発を浴びて死亡した。他に運転手が死亡、側近が負傷した。現地メディアによると、襲撃者は数キロにわたってフランコさんの車を追尾していたとみられ、犯行後は物などを盗まずにそのまま車で立ち去った。単独犯か複数犯かは明らかになっていない。

 フランコさんはレズビアンの黒人女性で、白人男性が大多数を占めるリオの政界で際立った存在だった。リオの貧困層の権利向上に力を入れ、特に最近は黒人が多いリオの貧困地区における警察の過剰な暴力を真っ向から批判していた。

■1万人以上が行進

 15日のデモでは約1万人がリオの州議会議事堂へ向かって行進。さらに仕事を終えた人々が合流し、フランコさん殺害に対し抗議した。参加者の多くは追悼の意を表す黒い服に身を包み、警察に対し、「殺りくはもうたくさん、今こそ行動する時だ」といったスローガンを叫んだ。

 ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領はフランコさん殺害について、「民主主義と法の支配に対する攻撃だ」と述べ、連邦政府の全面的な支援を約束した。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は殺害に関する「背景、動機、刑事責任の所在」について徹底した捜査を求めた。また国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は「この殺人事件に深い衝撃を受けている」と犯行を非難した。(c)AFP