【3月16日 AFP】米食品医薬品局(FDA)は15日、たばこのニコチン含有量の大幅な削減を考慮していることを明らかにした。たばこの常習性を弱めることを目指すこの動きは、今後数年以内に喫煙者を数百万人減少させることにつながるかもしれない。

 FDAによると、同局は現在、一般からの意見をあつめているとしており、また「紙巻きたばこのニコチン量を常習性が最小限またはゼロになる水準まで減らすための製品基準の検討」を近く開始する予定という。

 数十年に及ぶ禁煙運動が展開されてきたにもかかわらず、米国では喫煙による死者が毎年50万人近くに上り、直接医療費と生産性損失で年間3000億ドル(約31兆8000億円)近くが失われていると、FDAは指摘する。

 FDAなどの研究チームが15日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表した論文では、ニコチン量を常習性のないレベルにまで削減する措置の導入初年度には、500万人の喫煙者減少につながる可能性があると予測された。

 また、導入後5年以内に喫煙者がさらに800万人減少すると考えられ、2060年までには米国の喫煙率が現水準の15%から1.4%にまで低下する可能性もあるという。

 論文は、この措置により今世紀末までに850万人の命が救われるかもしれないとしている。

 米国を拠点とする反たばこ団体「Campaign for Tobacco-Free Kids」は、この計画を「果敢」と称した上で、早急に行動を起こすとともにしっかりと期日を設けるようFDAに強く要請した。

 同団体のマシュー・マイヤーズ(Matthew Myers)代表は、「米国の予防可能な死因の第1位である喫煙を減らす運動を大幅に加速し、喫煙が引き起こす死と病気をなくす目標にさらに近づくためのまたとない機会」とコメントしている。(c)AFP