【3月16日 AFP】中国南西部の都市成都(Chengdu)で高層ビルの屋上の隅に立ったヤン・レイ(Yan Lei)さんが手にしたカメラで眼下に広がる光景を捉えていく。懐中電灯を持ってビルの階段の吹き抜けを駆け上がり、はしごを登ったヤンさんは、この禁じられた旅の最後に息をのむ景観にたどり着いた。

 ヤンさんは7年前から中国各地の都市でこのような景観を写真に収めてきた。その多くは夜景だ。「最初は簡単だった。僕らのような人は多くなかったから。だが中国でデジタル一眼レフカメラが安く手に入るようになってから難しくなった。皆が持つようになったからね」とヤンさん。「今では(ビルの中に)入るのを手伝ってくれる人が必要になっている」

 完璧な写真の追求は中国の大胆な「ルーフトッパー(屋上登り)」の若者が昨年、62階の高さから転落死したことでさらに困難になった。極限のスタントには「絶対反対」だというヤンさんは、「僕らはあの出来事で大きな影響を受けた。残念なことに多くの人が僕らを彼らと混同したから」と語る。「僕らがやろうとしているのは発展しつつある都市の変化を記録することだ。彼らがやっているのは見せ物の危険なスタントだ。彼らのせいで今では多くの場所が僕らの写真撮影を渋るようになっている」 (c)AFP