【3月16日 AFP】ロシアのセルゲイ・リャブコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は15日、英国でロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏が襲われた殺害未遂事件で使われたとされる強力な神経剤「ノビチョク(Novichok)」について、モスクワの政府は開発計画に一切関与していないと主張した。

「可能な限りのあらゆる確信を持って言おう。ソビエト連邦にもロシアにも、ノビチョクと呼ばれる毒物の開発計画はなかった」とリャブコフ氏はインタファクス(Interfax)通信に語った上で、「計画が存在するとの疑惑を広めた」人々を非難した。ノビチョクの存在について最初に明らかにした旧ソ連の化学者ビル・ミルザヤノフ(Vil Mirzayanov)氏を指した発言とみられる。

 今は米国で暮らすミルザヤノフ氏によると、ノビチョクは東西冷戦(Cold War)時代にソ連が開発した猛毒の神経剤で、同氏が1990年代前半まで勤務していたモスクワの施設で製造されていたという。

 しかし、リャブコフ氏は「化学兵器禁止条約(CWC)に加盟後、わが国は新たな軍用毒物の分野における研究を全て終了し、貯蔵分も昨年、全部破棄した」と述べた。

 英、米、仏、独は、ノビチョクを使用してスクリパリ氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さんを襲撃したとしてロシアを非難している。親子の容体は今も予断を許さない状態が続いている。(c)AFP