【3月21日 AFP】ベトナムのカ(Kha)さん(27)の結婚式は一見すると完璧だが、後ろめたい秘密が隠されている……花嫁は妊娠3か月で花婿は偽物、結婚式そのものが「やらせ」なのだ。カさんはシングルマザーになることへの社会的不名誉を回避するためにこの式を挙行した。

 保守的なベトナム社会で伝統に背くと、家族全員が多大な代償を払うことになる。カさんは偽の結婚式の1か月後、AFPの取材に応じ、「夫がいないのに妊娠していると知れれば、まず両親が赤っ恥をかきます」と述べた。式の費用1500ドル(約16万円)は、別の女性と結婚している、おなかの子の父親が黙って支払ったという。

 16歳以上の約70%が既婚者となっているベトナムでは、結婚式出席者の派遣ビジネスが成長しており、花婿の代役を探しているのはカさんのように婚前妊娠した女性だけではない。

 若いカップルたちは、家族からのプレッシャーを和らげるために結婚式を挙げたり、結婚を認めてくれない両家の衝突を回避したりするために、両親、おば、おじ、代父母、友人の「レンタル」に大金を支払っている。

 カさんと偽の花婿は法律的には結婚していないが、ベトナムでは「形式的な手続き」よりも豪華な披露宴が重要視される。カさんは友人や親せきの前で花婿役を演じてくれた男性に対する感謝の気持ちを生涯忘れないという。

 カさんは笑顔で「おぼれそうになっていたときに救命胴衣をつかんだような気持ちでした」と述べた。

 カさんは、未婚のままシングルマザーとなるよりもバツイチのシングルマザーとして扱われることを選んだ。両親は全て知っているが、将来的にほかの家族には、夫に捨てられたと説明するつもりだという。