【3月15日 AFP】ラグビーイングランド代表のエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)は14日、アイルランドとウェールズに対して軽蔑的な発言をしていたことについて「率直に」謝罪した。イングランドのスポンサーを務める三菱ふそう(Mitsubishi Fuso)がユーチューブ(YouTube)にアップした動画の中で、ジョーンズHCがアイルランドについて「汚い」と吐き捨て、ウェールズについては「ひどい場所」と称している様子が確認された。

 ジョーンズHCは動画の中で「われわれが負けたのは、汚いアイルランドとのテストマッチだけだ。あの試合についてはまだ腹が立っている。しかし、必ずやり返してみせる。仕返ししてやるんだ。心配ない。われわれは来年、本拠地でやつらを倒して見返してやる!」とコメントしていた。

 ジョーンズHCはまた、2012年に日本代表チームのHCに就任した直後、日本のU-20代表がウェールズに大敗を喫したことについても、「ウェールズか!誰がウェールズを知っている?このちっぽけなひどい場所には300万人しか住んでいない。300万人だぞ!」と発言していた。

 動画は昨年7月に公開されていたものの、この問題発言が発覚したのは、イングランドの本拠地トゥイッケナム・スタジアム(Twickenham Stadium)で17日に行われるアイルランドとのシックスネーションズ(Six Nations Rugby 2018)最終節を数日後に控えてのタイミングだった。

 元オーストラリアの代表指揮官でもあるジョーンズHCは、イングランドラグビー協会(RFU)が発表した声明で「攻撃的な発言をしたことについて、率直に謝罪する。言い訳はできないし、あのような発言をするべきではなかった。本当に申し訳ない」と謝罪した。

 プール敗退に終わった2015年のW杯(Rugby World Cup 2015)終了後にジョーンズHCが指揮官に就任して以降、イングランドが昨季までに喫した黒星は、昨年ダブリンでアイルランドに9-13で敗れてグランドスラム(全勝優勝)を逃した1試合だけだった。

 一方、前節で優勝が確定したアイルランドは、「聖パトリック・デー(St. Patrick's Day)」に行われるイングランド戦で通算3度目のグランドスラムを達成すべく、さらなるモチベーションを模索していた中で今回のジョーンズHCの発言に遭遇し、新たな闘志を燃やしていることは確実とみられる。

 この問題にはイングランドの責任者も大きく困惑しており、RFUの広報担当者は、「エディーは自分の不適切な発言について謝罪している。RFUとしても、誰かを傷つけるような発言を遺憾に受け止めており、アイルランドラグビー協会(IRFU)とウェールズ・ラグビー協会(WRU)に謝罪したい」と述べた。

 ジョーンズHCは先日、エディンバラ(Edinburgh)にある敵地マレーフィールド(Murrayfield)で行われたスコットランド戦に13-25で敗戦した後、公共交通機関での移動中にスコットランドのファンとセルフィーをした際に、暴言や暴力を受けたとして同情の声が集まっていたが、今回の問題により過去の発言が偽善的だと批判される可能性がある。

 ジョーンズHCは新聞のコラムで、元スコットランド主将のギャビン・ヘイスティングス(Gavin Hastings)氏が、スコットランドは「エディー・ジョーンズの顔に泥を塗りつける」ことを何よりも喜ぶと示唆したことを受け、双方の対立関係を刺激するものだと主張。「憎悪を抱くような言葉や、人の顔に泥を塗るとかそういう発言をすることは、特定の行為を誘発する。われわれは、そういうことを望んでいるのか?」と述べていた。

 今季はスコットランドとフランスに敗れて大会3連覇を逃しているイングランドは、率直な物言いで知られるジョーンズHCの下で初めてトップを明け渡した状態で17日のアイルランド戦を迎える。イングランドは同HCの指揮下でテストマッチ27戦中24勝を記録しているものの、最終節で敗れると順位が5位まで沈む可能性がある。(c)AFP/Julian GUYER