【3月14日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が中央情報局(CIA)の次期長官に指名したジーナ・ハスペル(Gina Haspel)副長官(61)は、過去に海外の秘密収容施設で行われた収容者への拷問に関与したとされており、多くの議員から指名を疑問視する声が上がっている。CIA長官就任には連邦議会の承認が必要だが、難航も予想される。

 CIAで長年、秘密工作に携わってきたハスペル氏は、トランプ大統領が13日、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官を解任し、後任にマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官を充てる人事を発表した際、CIA次期長官に指名された。

 しかし、米国の「テロとの戦い」の中、ハスペル氏が海外の秘密軍事施設で監督していた収容者への尋問は、後に拷問だったことが露呈している。同氏のキャリアで妨げとなってきたこの過去が、今またその前に立ちはだかりそうだ。

 連邦議会のベテラン議員らは、今後開かれる上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)で、ハスペル氏の拷問関与について厳しく追及するとしている。

 共和党の重鎮ジョン・マケイン(John McCain)上院議員は「ハスペル氏は(CIA長官就任)承認の過程において、CIAの尋問にどのように、どの程度関与したのか説明する必要がある」と指摘。また民主党のロン・ワイデン(Ron Wyden)上院議員も「ハスペル氏の経歴は、CIA長官として不適任だ」と批判している。

 ハスペル氏は1985年にCIAに入局。海外の複数の支局でトップを経験している。今回、正式に就任すれば、CIA初の女性長官となる。

 ハスペル氏は2002年、タイにある米秘密軍事施設を監督・管理していたが、多くの報道によると、ここでは国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)幹部のアブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者や、湾岸地域でアルカイダの活動を主導していたとされるアブド・ラヒム・ナシリ(Abd al-Rahim al-Nashiri)容疑者の尋問が行われた。尋問では水責めや壁に叩きつけるといった過酷な拷問が行われていたという。

 拷問への関与に加え、ハスペル氏はロシアに対するCIAの見解についてもプレッシャーを受けるだろう。前任のポンペオ長官は、2016年の米大統領選に対するロシアの干渉疑惑について、「偽ニュースだ」と一蹴するトランプ大統領に配慮しているように見えた。

 ハスペル氏はかつてロシア関連の部署の幹部だったこともあるが、CIAの元高官らは、冷戦時代にCIAで「育った」ハスペル氏がロシアという国に幻想を抱いたり、ロシアに寛大な対応をしたりすることはないだろうと述べている。(c)AFP