【3月14日 AFP】南米アマゾン(Amazon)やインド洋(Indian Ocean)の島国マダガスカルなどの生物多様地域で、温暖化によって固有種の25~50%が今後数十年以内に局所的に絶滅する恐れがあるとの分析結果が14日、学術誌「クライマティック・チェンジ(Climatic Change)」で発表された。

 調査を委託した世界自然保護基金(WWF)は、あらゆる手を打たなければ、生物の多様性は来世紀中に著しく損なわれると警鐘を鳴らしている。

 調査対象は、WWFが優先的に自然保護を行うべき場所として選出している「重要保全地域(Priority Places)」33か所。絶滅の危機にひんした種や固有種など多様な動植物が生息する地域が含まれている。

 具体的には、チリ南部、ヒマラヤ山脈(Himalayas)東部、南アフリカのフィンボス(Fynbos)と呼ばれる固有の低木地帯、インドネシアのボルネオ(Borneo)島およびスマトラ(Sumatra)島、ナミブ砂漠(Namib Desert)、西アフリカ、オーストラリア南西部、アフリカ東部沿岸地域、リカオンが生息するアフリカ南部ミオンボ(Miombo)林など。

 調査チームは、これら地域で8万種近い陸生の植物、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫(はちゅう)類への温暖化の影響を分析した。

 温室効果ガス排出量の削減措置を一切講じない「現状のまま」のシナリオに基づいた場合、今後気温が4.5度上昇すると、アマゾン固有の植物種の69%が、ミオンボ林では両生類の90%、鳥類の86%、哺乳類の80%が局所的に絶滅する可能性があると指摘している。

 一方、気温上昇が2度に抑えられた場合は、多くの動植物種は現在の地域で生息を維持することが可能とみている。さらに、同じ気温条件で動物が、道路やフェンス、人間の定住などによって移動を妨げられなければ、絶滅の危機にひんする種の割合は25%から20%に低下すると推測している。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では世界の平均気温上昇を2度未満に抑えるという目標を掲げている。

 WWFは、絶滅とは種の消滅を指すだけではなく、数億万もの人々の生活にとって不可欠なものを提供する生態系に多大な影響を及ぼすことでもあると指摘。「端的に言えば、私たちは化石燃料の使用をやめなければならない」と主張している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux