【3月14日 AFP】英国で発生したロシア人元二重スパイの毒殺未遂事件をめぐり、ロシアは13日、英国は制裁を発表するのであれば、報復を覚悟しなければならないと警告した。一方、米国などは同盟関係にある英国に同調し、ソ連で開発された神経剤が今回の襲撃に用いられた経緯を説明するよう求めている。

 襲撃は今月4日に行われたもので、2010年にスパイ交換で英国に移住したセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏(66)と娘のユリア(Yulia Skripal)さん親子に対して神経剤が使われた。今回の事件は、第2次世界大戦(World War II)以降、欧州における最初の神経剤攻撃と考えられている。

 テリーザ・メイ(Theresa May)首相は、ロシアが襲撃に関わっている可能性が「非常に高い」との見解を示し、13日中に疑問に答えるよう要求。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、「ロシアに罪はない」と主張し、英国に協力する用意はあるが、神経剤のサンプル提供の要請を拒否されたと訴えている。

 在英ロシア大使館は正式に合同捜査を申し入れたと明らかにした上で、「それなしには、英政府からどのような声明が出ても意味はない」と表明した。

 ロシア側はまた、同国政府系テレビ局「RT」の事業活動が英当局に禁止された場合、すべての英メディアに同様の措置を取ると警告した。

 英国情報通信庁(Ofcom)は、襲撃の責任がロシアにあることが判明した場合、RTの事業許可を見直す可能性があると表明しており、ロシア側の反応は外交危機の増大を具体的に示唆する最初の兆候と言える。

 米国や北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)はいずれも英国側を支持。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は13日、メイ首相との電話会談で、ロシア政府は「明確な回答」を示さなければならないと述べた。 (c)AFP/James PHEBY with Anna SMOLCHENKO in Moscow, Alice RITCHIE with Anna Smolchenko in Moscow