【3月12日 東方新報】中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代)の開幕式が5日行われ、李克強(Li Keqiang)首相が政府活動報告を発表した。報告では今年、鉄鋼と石炭の生産を3000万トンと1億5000万トン、それぞれ削減するとしている。

 政府が公表したデータによると、鉄鋼の生産は2016年には6500万トン、17年には5000万トンずつ削減されている。

 石炭の生産は2016年には2億5000万トン、17年には1億5000万トンずつ削減されている。

 中国のエネルギー情報リサーチの中国能源網(China5e)の最高情報責任者(CIO)の韓暁平(Han Xiaoping)氏は、「鉄鋼と石炭の深刻な過剰生産は、資源の無駄遣いだけでなく国の経済構成にも影響を及ぼし、環境汚染にもつながる」と話す。

■石炭・鉄鋼の上場企業の利益、30%以上増加が多数

 国家統計局によると、中国の2017年の生産削減は進展を見せた。鉄鋼と石炭の生産削減により供給の質が改善され、製品価格が向上し、企業の効率と利益が大幅に回復した。

 インターネット金融データサービスの同花順(Tonghuashun)のデータによると、昨年の第1~3四半期までの鉄鋼関連上場企業32社中27社で、純利益が前年同期比で30%増えた。石炭関連では、上場企業33社中29社で同60%増加した。

■生産削減を進める上での課題は

 2017年12月末の中国の鋼材の価格指数は同年1月と比べ22.3ポイント増の121.8と、大幅に上昇した。

 業界関係者は、鉄鋼と石炭の価格が上昇したことで、削減の動きが鈍ったとみている。一部の企業が現状に満足し、削減を渋ったことが原因だと指摘する声もある。

 中国能源網の韓氏は、「企業が目先の利益だけで満足し、変わろうとしなければ、いずれ市場から淘汰されてしまうだろう」と話した。

■いかにして削減を図るか──業界再編の可能性

 中国企業研究院の李錦(Li Jin)執行院長は、「石炭、鉄鋼業に組織再編の波が訪れる可能性がある」と分析する。

 中国は、条件を満たしている石炭企業や関連産業企業間での吸収合併や、石炭を使用した火力発電所の共同経営を認めている。

 韓氏は、「中国でも石炭に課税し、石炭企業にはエコ手当を支給するなどし、市場化によって削減を後押しすべきだ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News