【3月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対する懲罰的関税の導入を決定したことを受け、米国の主要貿易相手の国々は9日、関税導入は「保護主義」であり、同盟国に対する侮辱であるなどとして、一斉に反発した。トランプ氏の決定により、世界的な貿易戦争の恐れが高まっている。

 ドイツのブリギッテ・ツィプリース(Brigitte Zypries)経済相は「この保護主義は、欧州連合(EU)やドイツのような緊密なパートナーに対する侮辱であり、自由貿易を制限するものだ」と語った。

 EUは報復措置として、鉄鋼やピーナツバター、バーボン、デニムなどの米国産製品に関税を課すと警告。これら製品の大半は、トランプ大統領が再選のために有権者の支持を勝ち取る必要がある州で生産されている。

 世界2位の経済大国である中国は、トランプ氏の決定は「正常な国際貿易秩序に対する重大な攻撃だ」と非難。米国の緊密な同盟国で、世界3位の経済大国である日本も、課税は両国間の経済関係に重大な影響を与える恐れがあると警告した。

 鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す輸入制限措置は、15日後に発効する予定。トランプ大統領によると、カナダとメキシコは当初の対象国から除外され、その他の安全保障・貿易上の緊密な同盟国も交渉次第で除外の可能性があるとされる。

 英国は、鉄鋼の過剰生産問題に取り組む上で関税は「正しい方法ではない」と批判。鉄鋼の主要生産国であるブラジルは「自国の権利と利益を守る」ため「必要なあらゆる手段」を取ると即座に宣言した。

 韓国は、自国が関税の対象から除外されない場合には世界貿易機関(WTO)への提訴を検討すると表明した。だがWTOでの紛争解決には3年かかる場合もあり、法的手続きが進行する間、各国による報復的な貿易制限の適用を阻止することはできない。(c)AFP/Hui Min NEO