【3月9日 AFP】陸上界は今、その圧倒的な才能と個性で人々を魅了したウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏が現役を退いたことで、新たな時代への対応に追われている――。男子短距離の伝説的選手であるマイケル・ジョンソン(Michael Johnson)氏は、陸上界はポスト・ボルト時代で注目されたような選手の個性ではなく、競技性で自立しないといけないと考えている。

 200メートルと400メートルの元世界記録保持者で現在50歳のジョンソン氏は、ファンを引き付ける強烈なバックグラウンドと個性を持った選手が出てくる保証がない以上、陸上界は競争を促すことに資金を投入するほかないと、出席したワールド・スポーツ・アワード(2018 Laureus World Sports Awards)の場で語った。

 陸上が人気競技として生き延びるためには選手の個性が必要かと問われたジョンソン氏は、「強烈な個性を持つことは手助けにもなるが、スポーツがそれに頼ってはならない」とコメント。さらに「もちろん、メディアやファンが興味を持つ背景を兼ね備えた個性的な選手が多くいる時代もあるだろうが、必ずしもそうはいかない。その後で不作の時代が来ることだってある」とすると、「では現時点でどうするのか?陸上界は競技として自立できなければならない」と続けた。

 また、自身は1996年アトランタ五輪で200メートルと400メートルの2冠を達成し、2000年シドニー五輪で400メートルの連覇を果たしたジョンソン氏は、「結局のところ競争が全てであり、それが競技を広める上でコアにあるべきだ」とし、陸上界の未来へ向けたカギは、いかにして若いファンを呼び込むかだと述べた。

 セバスチャン・コー(Sebastian Coe)氏が国際陸上競技連盟(IAAF)の会長に就任して以降、陸上界はストリートレースを導入するなどし、競技の魅力拡大を狙う動きが増えている。

 それでもジョンソン氏は「その質問に簡単に出せる答えはない」と話しており、「いまさらとも思うが、われわれは(若いファン層と)関係性を持たないといけない」と付け加えた。「われわれは若いファンを獲得できていない。どうやって新しい世代と関係性を持つか、その手段を見つけないといけない」 (c)AFP/Pirate IRWIN