【3月9日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課す文書に署名したことを受け、中国商務省は9日、国際貿易環境に著しい損害を与えると非難した。また欧州などからも反発の声があがっている。

 商務省は公式ウェブサイトに掲載した声明で、米国が輸入関税を課す理由として国家安全保障上の懸念を「乱用」することは、「正常な国際貿易規則に対する重大な攻撃」につながり「中国は断固として反対する」と述べた。

 トランプ大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の輸入関税を課す文書に署名。カナダとメキシコは当初の対象から除外され、その他の安全保障・貿易上の同盟国も交渉次第で関税発効を回避できる可能性があると述べた。ホワイトハウス(White House)によると、関税は15日後に発効する予定。

 米国が中国から輸入している鉄鋼は全体の2.7%に過ぎず、米国の輸入相手国の上位10か国にも入っていない。

 一方、欧州委員会(European Commission)のセシリア・マルムストローム(Cecilia Malmstroem)委員(通商担当)は8日、米国の輸入関税の対象から欧州連合(EU)が除外されるべきだとした上で、この問題について米国側に速やかな説明を求めていくと述べた。

 マルムストローム委員はツイッター(Twitter)に「EUは米国と友好関係にあり、こうした措置の除外対象とすべきと考えている」と述べた。

 英政府は、鉄鋼の世界的な過剰生産能力問題には全ての当事者が協力して取り組まなければならない問題であり、「関税は正しいやり方ではない」と主張した。

 トランプ氏の署名を受け、鉄鋼の主要生産国であるブラジルは「自国の権利と国益を守るために必要なあらゆる措置」を講じると表明した。

 また、河野太郎(Taro Kono)外相は、今回の決定について「遺憾」とした上で、「日米両国の経済・協力関係、さらには世界経済に大きな影響を及ぼしかねない」と述べた。

 トランプ氏が、今回の輸入関税を北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉との取引材料にしていることについて、カナダとメキシコは別問題との認識を示した。(c)AFP