【3月9日 AFP】日本を含むアジア・太平洋地域11か国の外相は8日、チリの首都サンティアゴで、関税引き下げなどの共通基準を定めた環太平洋連携協定(TPP)の縮小化版となる新協定に署名した。昨年にTPP離脱を表明したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は関税引き上げ方針を示しており、新協定締結はこれとは逆の動きとなった。

 新協定の名称は「包括的および先進的な環太平洋連携協定」(CPTPP)。署名したのはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11か国で、合計で世界全体のGDPの13.5%を占め、欧州連合(EU)単一市場を上回る500万人の市場を形成する。

 これらの国々はバラク・オバマ(Barack Obama)前政権下の米国を含む12か国でTPPを結んだが、トランプ大統領が「米国第一」主義を追求するため発効前に脱退し、宙に浮く形となっていた。

 だが新協定の支持者らは署名式を前に、協定が復活したことは重要な成果であり、開かれた貿易を訴えるものだと述べている。またカナダ、チリ、ニュージーランドは署名式に先立ち、自由貿易による利益の国民全体への波及と投資紛争解決を目的とする補助協定2件に署名した。

 トランプ大統領は今週、鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税を導入する見通しで、貿易戦争が起こる懸念が高まっている。(c)AFP