【3月8日 AFP】腎臓移植では夫が妻に提供するよりも、妻が夫に提供する傾向が高いとする研究が8日、「世界腎臓デー(World Kidney Day)」と「国際女性デー(International Women's Day)」に合わせて発表された。

 国際腎臓学会(ISN)と腎臓財団国際協会(International Federation of Kidney Foundations)が欧州で集められたデータを分析したところ、臨床的に適合した事例では女性の36%が夫に腎臓を提供していた。一方、同じく臨床的に適合した男性が妻に腎臓を提供した事例はわずか7%だったという。

 カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia)医学部のアディーラ・レビン(Adeera Levin)教授は、「夫より妻の方が腎臓提供者(ドナー)になることが多いのはなぜか、具体的な理由を特定するのは難しいが、利他主義や家族が生き延びる手助けをしたいとの強い願いが女性の動機となることを示唆する結果だ」と述べている。

 この研究によると、腎臓移植を受けた患者のおよそ3分の2は男性だった。しかし、世界規模でみると慢性腎臓病の患者は男性12%、女性は14%という結果だった。このデータからは、進行した慢性腎臓病の患者では女性の割合が高いことも判明したが、専門家らは「女性には腎臓病を発見・治療する体系的なシステムがなく、病気が進行したり合併症を引き起こしたりするリスクが高い」とみているという。(c)AFP