【3月7日 AFP】国連(UN)は6日、ミャンマーからバングラデシュに避難したイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)がゾウに襲撃される事故が相次ぎ、これまでに10人が死亡したことを受け、難民とゾウが「安全に共存」するための新たな取り組みを発表した。

 昨年8月以降、ミャンマー軍の掃討作戦を逃れてバングラデシュに避難したロヒンギャは70万人に上り、国連はミャンマー軍による「民族浄化」だと位置づけている。

 ミャンマーと国境を接するバングラデシュ南東部のコックスバザール(Cox's Bazar)には難民キャンプが急速に拡大。なかでもクトゥパロン(Kutupalong)のキャンプは現在、世界最大規模だ。

 難民キャンプでの生活状況が極めて困難な中、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はゾウの襲撃の脅威が新たな懸念として浮上していると述べた。

 UNHCRの声明によると、クトゥパロンの難民キャンプがある場所は長い間アジアゾウの重要な生息地で、この地域に生息する約40頭のゾウが食べ物を求めてバングラデシュとミャンマーを行き来しているという。

「残念なことに、難民キャンプ内でおびえたゾウに襲われて難民10人が死亡した。負傷者や、ささやかな住居を失った人もいる」とUNHCRは述べた。

 UNHCRは、バングラデシュで住民と野生のゾウとの共存を支援した経験のある国際自然保護連合(IUCN)と提携し、ゾウが接近した場合の対処法を難民に教えるなど、対策に乗り出す。(c)AFP