【3月7日 AFP】英国に亡命した元二重スパイのロシア人男性、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏(66)が正体不明の物質にさらされ重体となっている事件で、英警察当局は今のところ何の証拠もつかめていない──。

 しかし、これまでにも英国在住の亡命ロシア人が何人も不審死を遂げていることから、この事件の背後にもロシア政府が存在しているのではとの憶測を呼んでいる。

 スクリパリ氏はロシア軍の情報機関に所属していた元大佐で、同時に英対外情報部「MI6」のスパイとしても働いていた。ロシアで2006年に禁錮13年の判決を受けたが、2010年のスパイ交換以降は英国で暮らしていた。

 以下、英国へと亡命し、謎の死を遂げたロシア人たちを数名挙げる。

■元スパイ、アレクサンドル・リトビネンコ氏

 ロシア連邦保安局(FSB)のスパイだったアレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏が放射性物質で毒殺された2006年の事件は、英国に亡命したロシア人に関係する事件の中でも最も際立っており、英ロ間外交にも深い亀裂をもたらした。

 当該事件をめぐり英捜査当局は、リトビネンコ氏暗殺をロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が「おそらく承認した」との結論を下している。またアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)、ドミトリ・コフトゥン(Dmitri Kovtun)の両容疑者が放射性物質「ポロニウム」を持った実行犯とも特定した。

 今回のスクリパリ氏の事件を受け、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英外相は6日、「2006年のリトビネンコ氏の死を想起させる」とコメントしている。