【3月7日 AFP】オピオイド系薬物の乱用が深刻な問題となっている米国で、ヘロインやフェンタニル、処方鎮痛剤などの過剰摂取による2017年の救急外来受診数が前年比で30%増加した。米当局が6日、明らかにした。

 米疾病対策センター(CDC)が発表した報告書によると、過剰摂取の大幅な増加は全国的に起きているという。

 CDCのアン・シュチャット(Anne Schuchat)副所長は、「乱用問題は老若男女問わず、全ての人に影響を及ぼしている。州や郡の境界線に関係なく、米国のあらゆる地域で広がっている」と指摘した。

 報告書は、2016年7月~2017年9月にオピオイド過剰摂取の疑いで救急外来を受診したケースは14万2557件に上ったとしている。また、2016年第3四半期と2017年第3四半期の比較では、オピオイドに起因する救急外来受診数が29.7%の大幅増となったことも分かった。

 増加率が最も高かった地域は中西部の69.7%で、次いで西部の40.3%だった。

 同期間中のオピオイドに関連した死者数増加の有無については調査の対象とならなかった。死亡診断書のデータは収集により多くの時間を要する可能性があるためだ。

 だが、CDCのデータによると、2016年の薬物過剰摂取による米国での死者数は6万3632人で、2015年比で21.4%増となったという。

 また、2016年の薬物過剰摂取死の3分の2近くは、処方薬のオピオイドもしくは違法薬物のオピオイド、またはその両方が関係していた。これは2015年比で27.7%増。(c)AFP