【3月7日 AFP】(更新)英イングランド南西部ソールズベリー(Salisbury)で、毒物にさらされたとみられる元二重スパイのロシア人男性が意識不明の状態で見つかった事件で、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英外相は6日、外国政府の関与が判明した場合は「断固たる」対応を取ると警告した。これを受けロシアは直ちに、ジョンソン外相の発言を批判した。

 ジョンソン外相は同時に、もしロシアの関与が示されれば、同国で今年開催されるサッカーW杯への出場を取りやめる可能性を示唆するかのような発言も行ったが、関係筋は後に、外相が言及していたのはW杯に参加する英国の「当局者や高官」についてだったと説明した。

 被害に遭ったのは、ロシア軍情報機関に所属していた元大佐で、英国のスパイとしても働いた後、2010年のスパイ交換で英国に移住したセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏。娘と共にショッピングセンター前で発見された。警察の声明によると、スクリパリ氏親子は「正体不明の物質への暴露の疑い」で治療を受け、現在も入院先の地元病院で重体となっている。

 ジョンソン外相は下院議会で、普段は静かなソールズベリーに厳重警戒が敷かれるきっかけとなった今回の「不穏な」事件の原因を断定するのは時期尚早だとしながらも、2006年にロシア政府に批判的だったアレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏がロンドンで毒殺された事件との「類似性」に言及。同事件は英国側の調査で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の命令によるものだった可能性が高いとの結論が出されている。

 ジョンソン外相は「名指しはしないものの、世界各国の政府に言っておく。わが国の領内で罪のない人の命を奪おうとすれば、制裁あるいは刑罰が科されずに済むものではない」と警告。だが同時に、ロシアが関与した疑惑に間接的に言及した上で、もしその事実が確認されれば「W杯への英代表参加が予定通り行われ得るとは考えにくくなるだろう」と述べた。

 ロシアは直ちに、ジョンソン外相の発言を批判。同国外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官はラジオ局「モスクワのこだま(Ekho Moskvy)」に対し、一連の発言は「野蛮」なものだと非難したほか、在英ロシア大使館も声明で「あたかも捜査が既に終了し、ソールズベリーで起きたことはロシアに責任があるとの結論が出されたかのような発言だ」と指摘した。(c)AFP/Jitendra JOSHI with Alice RITCHIE in London