【3月5日 AFP】(更新、写真追加)シリア政府軍は4日までに首都ダマスカス近郊の反体制派支配地区、東グータ(Eastern Ghouta)の4分の1以上を掌握した。在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が明らかにした。政府軍の包囲下にある東グータでは15日間にわたって激しい空爆や砲撃が続き、民間人690人以上が死亡、数百人が地区西部へと逃げている。

 監視団によると、政府軍は主に農地で展開した作戦で東グータの「25%以上」を掌握した後、地区最大の町ドゥマ(Douma)まで3キロ圏内に入った。4日は、東グータ東部で政府軍と反体制派勢力が激しく衝突する中、政府軍の空爆とロケット砲攻撃により子ども11人を含む民間人34人が死亡した。うち26人はドゥマと地区東部で死亡したという。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を支援するロシアは先週、東グータで毎日5時間の「人道的停戦」を行うと発表したが、空爆は緩和した一方、地上戦は激化している。

 シリア政府軍情報筋が国営メディアに明かしたところによると、ロシア軍機の支援を受けた政府軍は前線の数か所で進軍し、農場や複数の村を奪還したという。

 東グータは反体制派の最後の主要支配地区で、2013年から政府軍の包囲下にあり、逃げ場を失った人々や避難を望まない住民ら40万人が今も取り残されている。国連(UN)によると、2万7500人分の人道支援物資を積んだトラック46台は、5日にようやく東グータ入りが認められる見通し。米英仏の3か国はシリアとロシアに対し、流血の事態を終わらせるよう圧力を強めている。

 米政府は4日、「ロシアとイランに支援されたアサド政権が東グータの住民に行っている軍事攻撃を非難する」との声明を発表。ロシア政府に対しても、シリア全土で30日間の停戦を呼び掛ける国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議を無視し「対テロ作戦を名目とした偽りの援助の下で罪のない民間人」を殺害していると糾弾した。

 しかし、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は同日、国営テレビで放送された記者団の取材に対し「東グータの(人々の)大半は、テロリズムの包囲から逃れたいと思っている」との見方を示し、政府軍は東グータ全域の奪還を目指して作戦を続行しなければならないと主張した。(c)AFP